こんにちは。終活コーディネーター/グリーフケア士の吉原友美です。
「おひとりさま終活」という言葉が、新聞や雑誌でも見かけるようになってきました。実際、私の元にご相談にいらっしゃる方の中にも、「子どももいないし、いざというとき、誰にも迷惑をかけたくないんです」とおっしゃる方が年々増えています。
“誰にも迷惑をかけたくない”という気持ち。
これはとても優しさにあふれた思いであり、同時に強さの表れでもあります。

でも、私はこう思うのです。
本当に大切なのは「迷惑をかけないこと」ではなく、「自分の人生に、きちんと責任を持って準備をすること」なのだと。
人と人とのつながりが大きな支えに
おひとりさまの終活でまず考えるべきは、自分に“何かあったとき”の備えです。たとえば……。
急に倒れたとき、病院に駆けつけてくれる人はいるか?
延命治療について、自分の意思を誰かに託しているか?
自分の死後、家財の整理や葬儀、納骨は誰が行うのか?
こうした問題は、漠然とした不安になりがちですが、一つひとつ整理していけば、意外と道筋は見えてきます。
最近では、見守りサービスや死後事務委任契約、エンディングノートの普及によって、おひとりさまの不安をカバーする仕組みが整いつつあります。

それでも、制度や書類だけでは足りない部分もあります。
やはり、人と人との“ゆるやかなつながり”が、最後には大きな支えになるのです。
“迷惑をかけたくない”気持ちを行動に変えよう
たとえば、信頼できる友人や近所の人、地域包括支援センターの職員、ケアマネジャーさん……。家族ではないけれど、あなたの想いを受け止めてくれる人がきっといます。

その方と少しずつでも関係を深め、“自分の最期を見守ってくれる人”の顔を思い浮かべておくことが、終活ではとても大切です。
また、おひとりさまだからこそ、自分の考えをしっかりまとめておくことが重要です。
それに役立つのがエンディングノートです。
自分の情報や想い、希望を残すことで、たとえ家族がいなくても、関わってくれる人が“迷わず動ける状態”を整えることができます。
大切なのは、「誰にも迷惑をかけたくない」と思う気持ちを、“準備”という行動に変えること。
おひとりさま終活は、孤独なものではありません。
むしろ、「自分らしく生き抜く力」と「未来への想像力」が試される、前向きな生き方の選択です。
一人で考え込まず、ぜひ誰かと一緒に、あなたの終活を少しずつ進めていきましょう。私もその一人として、寄り添っていきたいと思っています。