“入るお墓が決まってない!” 自分のお墓、どうする?

  • #もうお墓はいらない?

自分が亡くなった後、お墓をどうするか決めていますか?

お墓を継いでいるとか、お墓を購入済などで入るお墓が決まっている場合は別として、“決まっていない場合”は、どのようにお墓を選べばよいのでしょうか。

継承者はいるけど家族に迷惑はかけたくない、継承者がいないし予算をかけたくないといったケース別にお墓選びのポイントを解説します。

まずは、お墓や供養のスタイルを知ろう

お墓には、「お墓」と聞いてイメージしやすい墓石が建つ「一般墓」や、建物内に納骨する「納骨堂」、最近注目を集めている「樹木葬」などがあります。

それぞれのお墓の特徴を見ていきましょう。

お墓の種類

「一般墓」

区画された墓地に墓石が建つお墓を「一般墓」といいます。家単位のお墓で、「〇〇家之墓」などと書かれた「家墓」(代々墓や累代墓)のほか、2家のお墓をまとめて供養する「両家墓」、夫婦のみで入る「夫婦墓」などがあります。

「納骨堂(室内墓)」

寺院や霊園の建物内に遺骨を安置するお墓です。個人や家族、夫婦などさまざまな単位で利用が可能。三回忌や十三回忌までなど利用期間が決まっていて、利用期間が終了すると他の方のご遺骨と一緒に納骨(合祀)されます。

「樹木葬」

自然葬のひとつで、法律により許可を得た墓地や霊園にご遺骨を埋葬し、墓石の代わりに樹木を墓標として弔うお墓です。ほとんどが永代供養付きで、最近では、おひとり様や家族に迷惑をかけたくないという方から注目が集まっています。

「散骨」

「樹木葬」と同じ自然葬ですが、お墓を持たず遺骨も手元に残さないのが「散骨」です。海や川、山にパウダー状にした遺骨を撒きますが、条例などにより禁止されている地域もあるため、勝手な散骨はできません。一部の遺骨を手元供養する方法もあります。

供養のスタイル

「永代供養」

「手元供養」

自宅に遺骨の入った骨壺を安置しておく方法です。ペンダントやブレスレットなどに遺骨の一部を入れて供養する方法もあります。

ケース別 自分のお墓の選び方

お墓と供養のタイプを紹介しましたが、それでは、入るお墓が決まっていない場合、どんなお墓を選べばよいのでしょうか。ケース別に見ていきましょう。

<ケース1>
息子と娘がいるけれど、お墓参りや維持管理費で子どもに迷惑をかけたくないA子さんの場合

A子さんのプロフィール

・息子と娘はすでに独立をし、夫婦ふたり暮らし。
・夫は次男、自身も兄がいて、夫と自身の実家のお墓はそれぞれ、長男が引き継ぐことになっている。
・墓を継いだ自身の兄を見ていると、お墓掃除や維持管理費の支払いなどで大変そうなので、将来、自身のお墓のことで息子と娘に迷惑を掛けたくないと思っている。
・夫とふたりで入れるお墓か、希望があれば子どもも入れるお墓がいいと考えている。
・できるだけ費用は抑えたい。
・親想いの子どもたちだから、お墓参りをしやすい、アクセスがよい場所が希望。

子どもたちにお墓で迷惑を掛けたくないと思っているA子さんに向いているのは、継承を前提としない永代供養付きで、アクセスが良い場合が多い納骨堂(室内墓)でしょう。

<納骨堂(室内墓)のメリット・デメリット> ※永代供養付きの場合

メリット
・永代供養をしてもらえる
・一般墓より費用を抑えられる
・天候に左右されずお参りができる
・空調管理されているので、季節を問わず快適にお参りができる
・墓掃除や草むしりなどのメンテナンスが不要

デメリット
・お線香が焚けなかったりお供えの方法に制限があったりする場合がある
・納骨スペースに制限がある
・期限が過ぎると合祀される場合が多い
・老朽化など施設の維持に不安がある

A子さんのような場合は、永代供養墓付きの室内墓が向いていますが、家族と相談をしたりアクセスや環境などを、事前に見学して、自身の条件に合っているかしっかり調べることが大切です。

<ケース2>
独身で子どももいないB子さんの場合

B子さんのプロフィール

・独身で子どもなし。
・甥と姪とは仲がよいが、自身が死んだ後、お墓参りなどで迷惑をかけたくない。
・亡くなった後、甥や姪が困らないように生きているうちにお墓は決めておこうと思っている。
・お墓にお金はかけたくないと思っている。

B子さんに向いているのは、A子さんと同様に永代供養付きですが、お墓に費用を掛けたくないと思っているので、樹木葬が選択肢に。また、お墓の形態にこだわらない場合は、散骨なども検討にあがります。

それでは、樹木葬と散骨のメリットとデメリットをみていきましょう。

<樹木葬のメリット・デメリット>

メリット
・永代供養をしてもらえる
・費用が抑えられる
・自然に還ることができる
・宗旨や宗派不問の場合が多い

デメリット
・粉骨が必須の場合がある
・遺骨の取り出しが難しい
・樹木などの墓標があいまいになることがある
・遠方にありアクセスの悪いことがある

<散骨のメリット・デメリット>

メリット
・継承者不要
・費用が抑えられる
・維持費が不要

デメリット
・お骨を取り戻すことができない
・お墓参りができない
・周囲の理解が得られない可能性がある

費用をできるだけかけたくないと思っているB子さんにとっては、樹木葬よりも散骨が向いているかもしれませんが、遺された甥や姪は、墓標など手を合わせるシンボルが欲しいと思っているかもしれません。
B子さんのような場合も、家族と相談したり、樹木葬や散骨の資料を取り寄せる、事前に見学をしたりするなどの準備をすることが大切です。

今回はA子さんとB子さんのおふたりのケースを例にお墓の選び方を紹介しましたが、お墓の種類や供養のスタイルはさまざまで、選択のポイントも費用や条件などおひとりおひとりで違います。

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𠮷原友美

常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。

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