大人の葬儀マナー —— 故人を想い、自分を整える”心の終活”

  • #50代からの終活のススメ

「突然の訃報に、何をどうすればいいかわからない」
葬儀の知らせを受けたとき、多くの人が戸惑います。香典の金額は? 服装は? お焼香の作法は? ——次々と浮かぶ疑問に、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
葬儀マナーは、決して堅苦しい「形式」ではありません。それは故人への敬意を表し、遺族に寄り添い、自分自身の心を整える大切な所作なのです。
終活セミナーの講師として活動してきた私は、「葬儀で恥をかきたくない」というご相談を数多くいただきます。今日は、大人として知っておきたい葬儀マナーと、その本当の意味についてお話しします。

なぜ、葬儀マナーを身につけるのか

マナーとは本来、相手への思いやりを形にしたものです。 葬儀という厳粛な場で、故人を偲び、遺族の悲しみに寄り添う——その気持ちを正しく伝えるために、マナーという「形」があります。そして同時に、マナーを知ることは自分自身の心を整えることにもつながるのです。

葬儀参列の基本マナー

1. 服装 —— 故人への敬意を表す装い

男性の場合
ブラックスーツ、白いワイシャツ、黒のネクタイ、黒の靴と靴下。光る装飾品は避けます。
女性の場合
黒のワンピースやスーツ、黒のストッキングとパンプス。アクセサリーは真珠の一連ネックレス程度に。メイクは控えめに。

「急な訃報で喪服がない場合は?」という質問をよくいただきます。通夜であれば地味な平服でも問題ありませんが、告別式にはできる限り喪服を用意しましょう。

現代ならではの身だしなみQ&A
Q. ジェルネイルが派手な色ですが、落とす時間がありません
A. 黒やベージュの手袋で対応するのも一つの方法です。焼香の際は一時的に外す必要がありますが、目立ちにくい色であれば大きな問題にはなりません。

Q. 髪色が明るいのですが…
A. 時間があれば暗めに染め直すのが理想ですが、難しい場合は清潔にまとめ、派手な印象を抑えましょう。まとめ髪にするだけでも落ち着いた印象になります。

Q. スマートフォンはどうすれば?
A. 葬儀中は音が鳴らないよう、マナーモードか電源OFFに。最近は祭壇やお花を撮影される方も増えていますが、遺族の中には複雑な思いを持つ方もいらっしゃいます。撮影する場合は目立たないよう配慮し、SNSへの投稿は慎重に判断しましょう。

2. 香典 —— 金額と書き方

香典の金額は、故人との関係性や年齢によって異なります。
一般的な目安
友人・知人:5,000円〜10,000円
会社関係:5,000円〜10,000円
親族:10,000円〜50,000円以上

年代による違い
20代の方は無理のない範囲で3,000円〜5,000円でも問題ありません。30代以降は、関係性に応じて5,000円〜が一般的です。

ちょっとした豆知識
偶数の金額(2万円、6万円など)は「割り切れる=縁が切れる」として避ける習慣がありますが、最近はあまり気にしない方も増えています。
また、新札は「準備していた」印象を与えるため、少し折り目をつけるのが丁寧とされています。
ただし、これはあくまで目安。地域や関係性によって変わります。

香典袋の書き方
名前:フルネームを薄墨で書く
中袋:金額と住所・氏名を記入

表書きについて
宗教がわからない場合、最も無難なのは「御霊前」です。ただし、以下のような違いもあります。
仏教:「御霊前」(浄土真宗のみ「御仏前」)
神道:「御玉串料」「御榊料」
キリスト教:「御花料」
迷った場合は「御霊前」で問題ありません。

3. お焼香の作法 —— 宗派を超えた心

お焼香の回数は宗派によって異なりますが、参列者として最も大切なのは故人を偲ぶ心です。
基本的な流れ
焼香台の前で遺族と遺影に一礼 → 右手で抹香をつまみ目の高さまで持ち上げる → 香炉に静かに落とす → 合掌 → 遺影と遺族に一礼して戻る

回数は1〜3回が一般的。わからない場合は前の人を参考にするか、1回で済ませても問題ありません。大切なのは回数ではなく、故人への想いを込めることです。

4. 喪主への言葉 —— 短く、心を込めて

お悔やみの言葉は、短く簡潔に伝えます。
「この度はご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」——これで十分です。
避けるべきは「頑張って」「元気出して」といった励ましの言葉。遺族は今、悲しむ時間が必要なのです。
長々と話す必要はありません。むしろ、短い言葉に心を込める方が、遺族の心に届きます。

セミナーに参加された高橋明美さん(仮名・60歳)は、こんな経験を話してくださいました。
「母の葬儀のとき、昔からの友人が『お母様の笑顔、忘れません』とだけ言ってくれました。その一言が、どんな慰めの言葉よりも心に響きました」

葬儀マナーは「命を敬うこと」

葬儀に参列するということは、一つの命が終わったことを受け止め、その人の人生に敬意を表すことです。
そして同時に、自分自身の命について考える時間でもあります。人生には限りがあること。だからこそ、今をどう生きるか。大切な人に何を伝えておくべきか——葬儀という場は、生きている私たちに、命の大切さを教えてくれる場所なのです。

マナーを身につけることは、心の終活

葬儀マナーを学ぶことは、「恥をかかないため」だけではありません。それは、自分自身の心を整え、死と向き合う準備をすること——つまり、心の終活そのものなのです。
いつか訪れる大切な人との別れ。そして、自分自身の最期。それらについて考えることは、今をより良く生きるための大切な準備です。

大人として心を整える

大人として生きるということは、命と真摯に向き合うことでもあります。
葬儀マナーを身につけることは、その第一歩。形式を学ぶだけでなく、その背景にある「想い」を理解する——それが、命を敬うことであり、自分自身を整えることなのです。
あなたも「大人の葬儀マナー」を通じて、心の終活を始めてみませんか?

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𠮷原友美

常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。

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