「今年は喪中だから、お正月をどう過ごせばいいのかわからない」
大切な人を亡くした後、初めて迎えるお正月。年賀状は?お正月飾りは?初詣は?——次々と浮かぶ疑問に、一人で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
喪中は決して「何もしてはいけない期間」ではありません。それは、静かに故人を想い、自分自身の心と向き合う大切な時間なのです。
終活セミナーの講師として15年間活動してきた私は、毎年この時期になると「喪中の過ごし方」について多くのご相談をいただきます。今日は、喪中のお正月を心穏やかに過ごすためのマナーと、心の整え方についてお話しします。
目次
喪中とは? — その意味を知る
喪中とは、近親者が亡くなった際に、一定期間喪に服す期間のこと。一般的には一周忌までを指します。
ただし、これはあくまで目安。大切なのは形式ではなく、故人への想いと、自分の心に寄り添うことです。
セミナーでこの話をすると、「もっと長く喪に服したい」という方もいれば、「区切りをつけたい」という方もいらっしゃいます。どちらも間違いではありません。あなたの心が決めることなのです。
喪中のお正月、具体的にどうする?
年賀状は出さない —— 喪中はがきで伝える
喪中の場合、年賀状は出しません。その代わり、12月初旬までに喪中はがき(年賀欠礼状)を送ります。
喪中はがきの書き方
「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます」という内容と、誰がいつ亡くなったかを記載します。12月初旬までに送るのが一般的です。
「年賀状が届いたらどうすればいい?」という質問もよくいただきます。この場合は、お正月の期間が過ぎてから(1月8日以降)、寒中見舞いとして返信するのがマナーです。
セミナーに参加された佐藤恵子さん(仮名・65歳)は、こう語ってくださいました。
「母を亡くした年、喪中はがきを書きながら、一年を振り返る時間になりました。『こんなに多くの方に支えられていたんだ』と気づいて、感謝の気持ちでいっぱいになったんです」
お正月飾りは控える
喪中の期間は、門松・しめ飾り・鏡餅などのお正月飾りは控えます。これらは「新年を祝う」ためのものだからです。
ただし、お雑煮やおせち料理については、地域や家庭によって考え方が異なります。
祝い事として避ける
家族で静かに食べる
質素な内容にする
大切なのは、「正解」を探すことではなく、家族で話し合い、納得できる形を見つけることです。
初詣は —神社は控え、お寺へ

喪中の初詣については、混乱しやすいポイントです。
神社への初詣
神道では「死は穢れ(けがれ)」と考えるため、一般的に忌中(四十九日まで)は避けるべきとされています。喪中(一周忌まで)については、神社によって考え方が異なりますが、控えめにする方が無難です。
お寺への初詣
仏教では死を穢れとは考えないため、お寺へのお参りは問題ありません。むしろ、故人の供養として訪れることは推奨されています。
私のセミナーに参加された山本健一さん(仮名・58歳)は、こんな体験を話してくださいました。
「父を亡くした年の元日、いつもの神社ではなく、近所のお寺に家族で行きました。静かな境内で手を合わせていると、父が『よくやったな』と言ってくれている気がしました」
新年の挨拶はどうする?
喪中だからといって、「あけましておめでとうございます」が完全にNGというわけではありません。
職場や目上の方には「昨年はお世話になりました。本年もよろしくお願いいたします」、親しい人には状況に応じて柔軟に対応すればよいのです。
形式にとらわれすぎず、相手への思いやりと、自分の気持ちに素直になることが大切です。
喪中だからこそ、静かに向き合う時間
喪中のお正月は、確かに寂しさを感じる時間かもしれません。
でも、だからこそ、立ち止まって考える時間にもなります。
故人との思い出を振り返る
家族と語り合う
自分自身の人生を見つめ直す
これは、まさに心の終活そのものです。
セミナーに参加された田村美智子さん(仮名・62歳)は、こう話してくださいました。
「夫を亡くした年の正月、いつもの賑やかさがなくて最初は辛かったです。でも、娘と二人で夫の写真を見ながら、『お父さん、こんなことあったよね』って話していたら、自然と笑顔になっていました。悲しみだけじゃない、感謝の気持ちが溢れてきたんです」
喪中は、悲しみと向き合いながらも、少しずつ前を向くための準備期間なのです。

喪中を終活の学びの時間に
大切な人を亡くすという経験は、否応なしに「死」というものを身近に感じさせます。
それは同時に自分自身の終活について考えるきっかけにもなります。
セミナーでお会いする多くの方々が、こんなことをおっしゃいます。
「親を送って初めて、自分も準備が必要だと思った」
「子どもたちに負担をかけたくないから、今から考えたい」
「喪中を経験して、命の大切さを実感した」
喪中を経験された方ほど、終活に前向きになられる傾向があります。
特に「グリーフケアセミナー」では、喪失感と向き合いながら、新しい一歩を踏み出すためのサポートをしています。一人で抱え込まず、同じ経験をした方々と分かち合うことで、心が軽くなることも多いのです。
2026年、静かな正月から始まる新しい一歩

喪中のお正月は、華やかさはないかもしれません。
でも、その静けさの中にこそ、本当に大切なものが見えてくるのではないでしょうか。
故人への感謝
家族の絆
自分の生き方
これからの人生
喪中は終わりではなく、新しい始まりへの準備期間です。
2026年、喪中でお正月を迎える方へ。
無理に明るく振る舞う必要はありません。無理に悲しみを抑える必要もありません。ただ、静かに自分の心に寄り添い、故人に感謝を伝える——それだけで十分なのです。
そして、その静かな時間が、あなたの心を少しずつ整えてくれるはずです。
もっと詳しく知りたい方へ
喪中の過ごし方や、グリーフケア、終活について詳しく知りたい方は、「今日から終活!」のサイト内で検索してみてください。
また、(株)東上セレモサービスでは、関東エリアを中心に「グリーフケアセミナー」や「終活セミナー」を定期開催しております。
大切な人を亡くした悲しみは、一人で抱えるには重すぎるもの。同じ経験をした方々と、想いを分かち合う場があります。
15年間で25,000人の方々とお会いしてきた経験から、あなたの心に寄り添ったサポートをいたします。まずは気軽にお問い合わせください。








